勤務社労士とは?働き方やメリット・デメリット年収までを解説

勤務社労士とは、一体どのような仕事なのでしょうか?近年需要が高まっている、勤務社労士の働き方やメリット・デメリット、年収までを解説します。

勤務社労士とは?

勤務社労士とは「勤務社会保険労務士」の略称で、特定の企業で雇用され勤務している社労士のことを指します。社会保険労務士は、健康保険、年金、労働保険、給与計算、人事評価などの、会社を運営する上で重要な業務を担う国家資格保有者です。社会保険労務士のうち、独立開業をしている人のことを「開業型」、企業に勤務している人のことを「勤務型」と呼びます。

勤務社労士は、およそ4万人の社会保険労務士のうち、全体の40%程度であると言われています。勤務社労士のおもな役割は、企業内での総務や人事に関する業務をサポートすることです。社労士は、厚生労働省の法律に基づいた国家資格であることから、「業務独占資格」を行うことが可能です。社労士が行うことが可能な業務は、大きく分けて「各種書類作成及び代理代行」と「コンサルティング」の2つになります。

この2つの業務のうち、勤務社労士がおもに行う業務は「従業員の雇用や退職に係る相談及び指導」「賃金に関わる相談及び指導」「労働時間に関わる相談及び指導」「人事に関わる相談及び指導」などのコンサルタント業務です。

勤務社労士のメリット

勤務社労士のもっとも大きなメリットは、「収入が安定する」ことです。独立開業をした開業型の社会保険労務士の場合には、収入を得るためには自ら営業をすることが必須であるのに対し、勤務社労士の場合には企業における一定の職務を遂行しているだけで、安定した収入を得ることができるからです。また、企業に勤務する勤務社労士の場合には、社会保険労務士は国家資格であることから、企業内で待遇がアップするという可能性もあります。

近年、勤務社労士をCHO(最高人事責任者)やCPO(最高人材活用責任者)として据える企業も増加しています。そのため、勤務社労士として企業に勤務をすることにより、キャリアアップや収入増加などの、多くのメリットが発生する可能性は高いと言えるでしょう。また、勤務社労士は、年金や労災などの相談を受けることが多く、社員から信頼を得ることができるため、仕事にやりがいを感じられるのもメリットであると言えます。

さらに、勤務社労士であれば、社会保険労務士の会費や登録費などを、企業に支払ってもらえる場合もあります。社会保険労務士になるには、登録手数料が3万円、登録免許税が2〜3万円、入会金が3〜5万円、勤務社労士としての年会費がおよそ4万円ほどかかります。このように、社会保険労務士として働くには、最初の段階で20〜30万円とかなり多くの費用が必要になります。しかし、企業にて勤務社労士としての資格取得を推奨された場合には、これらの費用を企業が支払ってくれる可能性があります。

現在はまだ社会保険労務士は、一般的にメジャーな職種とは言えませんが、企業にて勤務社労士の需要は年々高まっています。なぜなら、近年は労働時間や有給休暇などの問題に付け加え、セクハラやパワハラなどの労働環境に関わる問題が増加傾向にあるからです。このような労働環境にに関わる問題は、勤務社労士がいることにより、トラブルを未然に防げる可能性や、問題解決をスムーズに行うことができます。

他にも、企業が国から助成金を得るためには、複雑な専門知識を必要とする書類作成を行い、申請をする必要があります。これらの業務を行う際にも、勤務社労士がいることにより申請をスムーズに行うことができます。このように、勤務社労士は企業において、さまざまな重要な業務を行うことができることから、近年需要が高まってる職業です。そのため、社会保険労務士の資格を取得することは、就職や転職をする際に大きなメリットになります。

勤務社労士のデメリット

勤務社労士のデメリットは、高い収入を得ることが難しいということです。独立開業している社会保険労務士の場合には、自分の努力次第で大きな利益をあげることができるのに対し、勤務社労士の場合には企業の賃金規定に従って決められるため、高い収入を期待することは難しいと言えます。また、勤務社労士は、企業に勤務する会社員であるため、サラリーマンとほぼ同じです。

そのため、勤務社労士は務めている企業により、賃金や報酬が異なるため社会保険労務士であっても、他の社員と同じ待遇や賃金である場合もあります。さらに、社会保険労務士の登録料や入会金、年会費などを負担してもらえない企業の場合には、20〜30万円もの費用を自己負担しなければいけないこともデメリットであると言えるでしょう。社会保険労務士は、社会保険労務士の国家試験に合格しただけでは、社労士としての肩書を名乗ることができません。

そのため、社会保険労務士として仕事をするには、必ず全国保険労務士会合連合会に登録しなければいけないのです。また、もしも社会保険労務士の実務経験が2年以上ない場合には、社会保険労務士に合格しても、すぐに登録をすることができません。実務経験が2年以上ない人の場合には、社会保険労務士の「事務指定講習」を受ける必要があります。この社会保険労務士の事務指定講習を受講するには、77,000円もの費用がかかります。

このように、勤務社労士として仕事をするには、場合によってはかなりの時間と費用が必要となることもデメリットであると言えます。他にも、勤務社労士はつねに勉強を続ける努力が必要であることや、継続するために年会費など多くの費用がかかることも、長期的に見た場合にはデメリットとなる可能性があります。

勤務社労士の年収

勤務社労士の年収の平均はおよそ500万円で、男女により異なります。勤務社労士の男性の平均年収は540万円で、女性の平均年収は460万円です。これに対し、日本人全体の平均年収はおよそ500万円、男性の平均年収が560万円で、女性の平均年収は390万円になります。これらの統計結果から、日本人の平均年収と比較すると、勤務社労士全体は平均値と同じです。

しかし、女性の日本全体の平均年収が390万円であるのに対し、女性の勤務社労士の場合は460万円と70万円もの差があります。このようなことから、女性の勤務社労士であれば、日本全体の平均年収よりもかなり高い水準であると言えるでしょう。また、企業によっては法務部の求人などもあるため、「資格手当」が適用される場合もあります。このように、勤務社労士の資格手当がある企業の場合には、さらに年収が上がる可能性もあることから、先に挙げた平均年収よりも高い年収を期待することができます。

勤務社労士になるためのルート

勤務社労士になるためには、まず最初に社会保険労務士の国家試験に合格する必要があります。社会保険労務士は、合格率が2〜9%とかなり難易度の高い資格です。社会保険労務士の国家資格に合格した後には、管轄地区の全国保険労務士会合連合会にて社会保険労務士名簿の登録を行います。全国保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿に登録するには、「2年以上の実務経験」もしくは「事務指定講習を修了」する必要があります。

社会保険労務士の登録に必要な条件を満たすことで、社会保険労務士の登録が完了し、晴れて社会保険労務士としての肩書を名乗ることができるようになります。また、勤務社労士として働くことを希望する場合には、社会保険労務士の登録の際に「勤務型」を選ぶようにしましょう。勤務社労士として働くには、通常の仕事を探すのと同様に、企業の社会保険労務士の求人案件に応募し就職します。

現在は、勤務社労士の需要が増加傾向であるため、派遣会社・エージェントもなどでも案件を多く取り扱っています。また、勤務社労士などの士業に特化した派遣会社・エージェントも現在は数多くあります。このような特化型の派遣会社・エージェントを利用することによって、通常よりも高い年収の企業案件に応募することも可能です。

ただし、勤務社労士は数あるうちの資格のうちの1つに過ぎません。そのため、就職の際には社会保険労務士の資格保有だけでなく、実務経験も重要視されます。また、勤務社労士として企業に就職後は、雇われている企業にて勤務社労士としての登録が必要です。さらに、転職する場合には、会社を辞めると同時に勤務社労士の登録は自動的に抹消されてしまうため、毎回新たな勤務先にて勤務社労士としての登録や登録費用が必要になるので注意が必要です。

まとめ

勤務社労士とは、「勤務社会保険労務士」の略称で、特定の企業に雇用され勤務している社会保険労務士です。勤務社労士は、おもに健康保険、年金、労働保険、給与計算、人事評価などの、会社を運営する上で重要な業務を企業内にて行っています。勤務社労士は、社会保険労務士の国家資格取得後に、全国保険労務士会合連合会にて社会保険労務士名簿の登録を行わなければ、勤務社労士として仕事をすることができません。

さらに、全国保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿に登録するには、「2年以上の実務経験」もしくは「事務指定講習を修了」する必要があるため、勤務社労士になるためには初期費用として20〜30万円ほどの費用がかかることを念頭に入れておくことが重要です。ただし、企業により勤務社労士にかかる費用を負担してくれる場合もあるため、社会保険労務士の資格を取得する場合には、一度企業での規定を確認してからの方が良いでしょう。

勤務社労士は、日本全体の平均年収とほぼ同じであるものの、企業により資格手当や昇格などにつながることも多いため、年収アップが期待できる資格です。また、勤務社労士は、近年企業にて需要が高まっている職業であることから、就職や転職に有利であることも資格取得をする上でメリットであると言えます。ただし、社会保険労務士としての資格取得や継続するための費用なども多くかかることから、本当に自分に必要な資格であるかどうかを見極める必要もあるでしょう。

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